家の中心となるリビングに階段を設ける「リビング階段」。
おしゃれな見た目や家族とのつながりを感じやすいなどの声がある一方で、リビング階段にすると寒いという意見もあります。
実際のところ、リビング階段の使い勝手や快適さはどのようなものなのでしょうか?
リビング階段は人気の間取り
リビングに階段を作るリビング階段は、最近特に人気のある間取りです。
リビングイン階段と呼ばれることもあり、雑誌やテレビで紹介される間取りにも頻繁に登場しています。
この間取りでは、2階にあがるのに必ずリビングを通過しなければなりません。
子どもが帰宅後部屋に直行させず、親と顔を合わせる機会を設けることが、教育上良い効果を生むなどといった宣伝をされるようになってから、急速に広まった間取りです。
現在の新築住宅の半数以上で、このリビング階段が採用されているともいわれています。
また、リビング階段設置による広々とした空間の演出は、リビングをおしゃれにするのにも役立ちます。
天井を高くしたり、吹き抜けにしたりすることで、広々とした立体的な空間づくりができます。
特にスケルトン階段を使用した明るいリビングは、インテリア雑誌などでよく見かけるつくりです。
リビング階段の長所
リビング階段のメリットは、やはり家族が顔を合わせる機会が増えることです。
2階の居室に上がるには、必ずリビングを通らなくてはいけない構造になるため、自然と顔を合わせられる環境になります。
たとえ会話が多くなかったとしても、顔が見えるだけでお互い安心できます。何かあった時にも、変化に気が付きやすく安心です。
子どもがもう少し大きくなってからも、夜遅くにこっそり出かけにくく、夜遊びを防ぐ効果も期待できます。
また、玄関からこっそり不審者が侵入して、そのまま2階に上がってしまうこともないため、防犯的に考えても良い間取りです。
インテリアやデザインの面で考えても、リビング階段にはメリットがあります。
階段の分だけ部屋が広くなるため、リビングが広々見えるようになります。
特に、吹き抜けにリビング階段をセットした場合の効果は大きく、開放的で明るい空間をつくることができます。
蹴込み板のないスケルトン階段を採用すれば、階段の下にも光が通るため、採光に不安のある住宅でも明るさをキープしやすいです。
蹴込み板のある普通の階段を使用する場合も、階段下を収納にして散らかりがちなリビングを片付けやすくするなど、スペースの有効活用がしやすいです。
リビング階段の短所
リビング階段の短所としてよく上げられるのが、冬場寒いという問題です。
暖かい空気は上に上がり、冷たい空気は下にたまるという性質があります。
リビングに階段があると、階段を通って暖房の暖かい空気は上の階にいってしまい、冷たい空気は1階のリビングにとどまったままになってしまいます。
戸建住宅の場合は、マンションなどと比べると底冷えすることもあり、マンションから越した人は特に寒さを感じやすいです。
特に吹き抜けとセットになったリビング階段では空調が聞きにくく、冷暖房の効率が悪くなります。
ただ、最近ではリビング階段の寒さは感じにくくなっています。
というのも、リビング階段が流行りだした頃と比べて、住宅の断熱性・気密性が格段に向上しているためです。
最近の住宅では、吹き抜けやリビング階段があっても家から熱が逃げにくいため、冷暖房が効くようになっています。
リビング階段を採用したいという場合は、気密性・断熱性の高いハウスメーカーや工務店を選択することで、リビング階段は寒いという問題を緩和することができます。
ただし、通常のリビングよりも広い空間になることには変わりはありません。
リビング階段のないリビングと比較すると、どうしても冷暖房の効率は悪くなります。部屋があたたまるまでも時間がかかりますし、人の居ない部分まで空調を効かせることになります。
また、空気の流れは温度だけではなく、匂いや音も伝えます。
階段を伝って調理の匂いや食事の匂いが家じゅうに広がりやすく、高気密の住宅では匂いがこもりやすいです。
リビングの声も届きやすく、テレビの音などが寝室に聞こえやすくなります。
もう一つの大きなデメリットが「リビングを通らないと2階に行けない」という部分です。
子どもが小さいうちこそメリットですが、子どもが大きくなるとお互い鬱陶しく感じる部分が出てくることもあります。
賑やかな雰囲気の家族であれば気にならないかもしれませんが、落ち着いた家庭や個人のプライバシーを尊重する家庭にはあまり向いていません。
来客時にも不便です。
例えば、お客さんがリビングにいる時に帰宅した時は、帰宅した人はお客さんが話しているそばを通らなくてはならず、気まずい場合もあります。
子どもが自分の部屋に友達を読んだ時も不便です。
リビングに滞在しなくても通過はするため、ある程度は片付けておかなくてはなりません。
うかつにリビングでごろごろすることもしにくくなります。
リビング階段にすると、家のどこに行くにもリビングを通過することになってしまいやすいです。
来客の多い家ではリビングをプライベートな空間としては利用しにくくなってしまいます。
使いやすいリビング階段の工夫
リビング階段のメリットを活かしつつ、デメリットをできるだけ感じさせないようにするには、どのようにしたら良いのでしょうか。
まずは寒さについて考えてみましょう。
エアコンの風が上がってしまい寒いのであれば、床そのものを温めるのがおすすめです。
床暖房を導入したり、ホットカーペットを併用したりすることで、冬でも暖かく過ごすことができます。
シーリングファンやサーキュレーターの導入もおすすめです。
また、階段に扉やカーテンをつけ、冷暖房を効かせる範囲を狭めるのも効果的です。
冷暖房を使わない季節は開け放しておき、必要に応じて扉やカーテンを使うようにすれば、リビング階段のメリットを残しつつ、冷暖房費の節約ができます。
カーテンや扉の設置は、匂い対策にも有効です。
調理や食事の前後だけ閉じることで、匂いの拡散やこもるのを防ぐことができます。
階段前に扉をつけてしまうと、何か抱えたまま昇り降りするのに不便なため、閉じたままでも出入りできるカーテンやスクリーンを使用すると楽です。
階段の位置や設置方法を工夫するのも一案です。
階段をリビングの真ん中や、玄関から遠い位置に設置するのではなく、リビングの中でも入り口や玄関に近い位置に設置することで、デメリットを軽減できます。
リビング隅の階段であれば、必ずリビングを通らなくてはならないという制約は残しつつも、真ん中を通る時ほどは出入りが気になりません。
子どもが大きくなってからも鬱陶しくなりづらく、来客時も失礼になりにくいです。
リビング階段の位置を工夫することで、存在は感じつつも、適度な距離感を保った落ち着いた雰囲気のリビングをつくることができます。
リビング階段は工夫次第
リビング階段には、おしゃれな見た目や家族とのつながりを感じさせるなどのメリットがたくさんあります。
デメリットもありますが、場所や設備に一工夫加えることで簡単に解消できます。
リビング階段をつくる上で大切なのは、まず高気密高断熱の家で採用すること。
そしてもう一つ、自分や家族のライフスタイルと本当にマッチしているかどうかをよく考えることです。
このあたりの知識は、スーモカウンターで相談したときに、具体的な事例なんかも紹介してもらえて参考になりました。