1.特徴
●輸入住宅
仙台からスタートしたセルコホームですが、カナダからの輸入住宅を販売しているのが特徴です。カナダで加工された木材などを輸入し、建材として使用しています。構法はカナダではスタンダードであるツーバイフォーやツーバイシックスなどと呼ばれる木造枠組壁構法です。
加工はカナダで行い、その後船で輸出するため、着工まで2ヶ月ほどかかります。しかし、セキスイハイムと同じように、工場でかなり完成された状態まで加工するため、現場での工事期間は短いです。そのため、全体の長さで言えば、他のメーカーとあまり差はありません。
●ツーバイシックス
セルコホームの住宅は、木造枠組壁構法でつくられています。木造枠組壁構法という言葉よりも、ツーバイフォーやツーバイシックスという言葉の方が、最近は耳馴染みがあるかもしれません。
ツーバイフォーとツーバイシックスの違いは、幅です。大きい材料使用することでつなぎ目を減らすことができ、ツーバイフォーに比べると強度が上がるのが特徴です。
また、普通は455mm間隔で入れる構造材を406mm間隔で入れています。スタッドとも呼ばれる構造材が通常よりも密に入るため、高い強度を得ることができています。ただこのスタッドの間隔には問題もあり、和室や畳との相性が悪くなってしまうのです。畳敷きの部屋を作ろうと思うと、畳を特注するか、デッドスペースを覚悟するかのどちらかになってしまいます。輸入住宅に畳の部屋は似合わないと思うかもしれませんが、一部屋ぐらい畳の部屋がほしいと思う人は案外いるものです。
●寒冷地の住宅
カナダは日本よりも緯度が高く、寒冷な気候です。そのため、住宅も寒冷地に適した仕様になっています。セルコホームの住宅も例外ではなく、寒冷地に適した高気密・高断熱住宅です。こうした断熱性の高い住宅は冷暖房時のロスが少なく、家庭で使用するエネルギーを減らすための重要な要素です。
カナダでは環境意識から高断熱・高気密住宅に取り組んできた歴史も長く、1990年にはR2000という住宅の省エネに関わる基準が制定されています。日本では1999年に次世代省エネルギー基準が当時の建設省によって定められました。しかし当時の基準は世界的に見ても甘いもので、2009年に改正されたことでやっと諸外国と同等の基準となりました。
最近では一般にもエネルギー問題への認識が浸透し、特に東日本大震災以降はよりいっそう省エネ住宅への注目が高まっています。ハウスメーカーもそうしたニーズに応え、高気密・高断熱の住宅の販売に力をいれています。
一昔前こそ、カナダの住宅は日本の住宅に比べて高い断熱性を持っていました。しかし現在では、日本の住宅も同じような機能を備えるようになっています。輸入住宅でないと実現できない、というものではありません。
2.評判
●営業の評判
対応にばらつきがある、という評判が見受けられます。セルコホームの営業所には直営のものとフランチャイズの両方があり、特にフランチャイズの工務店でのばらつきが大きいようです。フランチャイズ形式をとるメーカーにはありがちな問題で、工務店ごとに営業の質や技術差が開いてしまうのです。
直営であっても、強気で高圧的な態度だった、という評判もあるようです。高額な商品を扱うため、そのような態度になってしまう人もいるようです。契約前には親切で優しい態度だったのに、契約した途端扱いがぞんざいになった、というパターンも聞きます。営業との付き合いは、住宅を建てた後もメンテナンスなどで十数年、何十年と続く可能性があります。後々まで嫌な思いをしないように、営業の質はしっかり見極める必要があります。もし「この人とは長く付き合えない」と思ったら、担当を変えてもらうか、別の工務店にするなどの対策を取りましょう。
●住宅の評判
実際に家を立て、住んでいる人の評判は非常に良いです。断熱性の低い家に住んでいた間は、冬は寒くて当然と思っていても、高断熱の家に済むとそれまでいかに寒い冬を過ごしていたかを実感するようです。
セルコホームが輸入住宅を販売し始めたのは95年。国内の住宅メーカーよりも早い段階で高機能な住宅の販売をしており、そのころにセルコホームの住宅を購入した人の評価は特に高いです。
最近は鉄筋コンクリートの住宅だけではなく、セルコホームと同じ木質系の住宅でも非常に高い断熱性を持った住宅が登場しています。とは言え、高断熱住宅への取り組みは長く、質の良さは健在です。
●専門知識
木造軸組み工法と比べると、ツーバイフォー・ツーバイシックスの住宅の設計には細かいルールが沢山あり、より高度な専門知識を要求されるのが普通です。
しかしセルコホームの住宅では、規格住宅の商品バリエーションは豊富で、ある程度の範囲内の要望であれば規格住宅の枠の中で対応できるようになっています。そのため、それほど深い専門知識を持っていない設計者もいるようです。
結果的に要望への柔軟性が低く、自由設計を選んでも、あまり規格住宅と変わらない住宅しか建てられなかった、というケースもあるようです。生産拠点が離れていることも、柔軟性の低さに影響しているようにも思います。
セルコホームの規格住宅と大きく離れたような間取り・住宅を建てたい場合は、一旦ツーバイフォー・ツーバイシックスの専門家に相談したほうが安心できるかもしれません。
3.価格と坪単価について
最上位モデルの住宅(グランドスーパーE)で坪70万円、カナダでの省エネ基準を満たした省エネ住宅(スーパーE)では坪50万円程度。外観や間取りのプランの幅が広いザ・ホームpsでは坪50~60万円台、シンプルさが売りの住宅(X1)では坪40~50万円、Joinという商品では坪40万円です。
輸入住宅というと高価なイメージですが、価格帯としては真ん中からやや低い範囲をカバーしています。カナダは日本よりも人件費が安く、そこで主な加工をするため、輸送費を含めても国内で賄うよりも安く済むのかもしれません。また、この価格帯の住宅にしては断熱性が高く、高機能なのも特徴でしょう。