1.特徴
●北欧の住宅技術を採用
スウェーデンを始めとした北欧の住宅に使われる記述を取り入れたハウスメーカーです。技術や材料などにはスウェーデンからの輸入品も含まれていますが、海外の会社ではなく、トーモク、三菱地所、北海道製鉄の三社によって設立された会社です。
設立に北海道製鉄が含まれていることからも分かるように、北海道から始まったハウスメーカーで、耐寒性を非常に重視しています。緯度の高い北欧地域で培われた住宅の技術を採用し、ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリックでは大賞を受賞しています。
高気密・高断熱を実現する一方で、北欧仕様の住宅のため、網戸が無いといった日本の一般的な住宅とは異なる面もあり、どこまで普及が進むのか気になります。
●木製の窓
スウェーデンハウスでは、木製のサッシを採用しています。アルミ等のサッシと比べ熱を通しにくく、見た目も良いのが特徴です。一方で手入れには手間がかかり、湿気の多い地域ではカビや腐食などに注意が必要です。住宅の引き渡しと一緒にメンテナンス用の道具が貰えるため、何をすればいいか途方に暮れるという心配はありませんが、手入れが必要な事には変わりません。
こまめにメンテナンスをしなければ長持ちさせることができないため、忙しい人に木製サッシは向いていません。
2.評判
●高断熱・高気密
やはりスウェーデンハウスの長所といえば高気密・高断熱でしょう。
国内でも早くに高気密・高断熱住宅に目をつけた存在で、その取り組みは20年以上さかのぼります。
エコロジー意識の高まりや新しい工法の開発などにより、最近では色々なメーカーが高断熱・高断熱住宅を売りにしています。
数値上では一条工務店などに追い抜かれてしまっています。しかし、実際の住宅が高気密・高断熱であるかどうかはカタログ上の数値だけでは分かりません。いくら壁や床が熱を通しにくくても、間取りや窓の大きさで変わってきてしまうからです。その点でスウェーデンハウスの考え方やノウハウは未だ他社の追随を許さず、高い評判を維持しています。
また、スウェーデンハウスでは特徴の一つである木製サッシに加え、ペアガラスではなく3重ガラスを採用することで一層の断熱性を実現しています。換気にも工夫があり、24時間換気システムは熱交換型です。
高性能のエアコンや節水器具等、高断熱・高気密いがいにも省エネルギーのためのアプローチをしており、環境への意識の高い人にも好まれています。2007年にはハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリックを受賞しており、環境への配慮は公にも認められています。
性能面だけでなく、デザイン面での評価も高く、見た目にもこだわりたい人にも人気です。断熱性重視という方向性、北欧デザインの外見と、はっきりした個性のあるハウスメーカーです。
●値段が高い
坪単価は80~90万円と価格帯としてはかなり上の方です。
輸入住宅という高級なイメージとあいまって、敷居の高いメーカーだという印象を抱く人も少なくないようです。
創業当初こそ革新的だった高断熱や24時間換気システムも、今では他でも導入できるものが多く、スウェーデンハウスでしかできない、と言えるものはほとんどありません。木製のサッシに憧れてスウェーデンハウスを選んだが、実は他のメーカーでオプションとして追加したほうが安上がりだった、というケースも十分考えられます。
確かにスウェーデンハウスはブランドとしての方向性がはっきりしていて、高級感があり、魅力的に見えます。しかし、一見個性的に見える商品や工法でも、他のメーカーでは絶対に実現・代用できないものはほとんどありません。これはスウェーデンハウスに限った話ではなく、名前を他と変えることで個性的に見せるという手法はよく使われています。
また、大手メーカーが大量に資材を仕入れているからと言って、それが必ず価格に反映されているとは限りません。
大手は宣伝にお金をかけていることも多く、研究などにも力を入れているからです。
●間取りの制約
スウェーデンハウスの住宅は、スウェーデンから輸入した木質パネルを使っているため、他のメーカーとは少し違う間取りの制約があります。
一般に日本の住宅は尺モジュールかメーターモジュールで設計されます。これには910mmを一つの単位とするか、100mを一つの単位とするかという違いがあります。
しかし、スウェーデンハウスでは1.2mを一つの単位として扱います。
モジュールの差によって分かりやすく違うが出るのが廊下の幅です。尺モジュールでは45cm単位で調整できるのに対し、スウェーデンの基準では60cm単位でしか調整できません。土地に余裕があるのであれば、広々と使えて良いのですが、限られた土地を有効活用する場合、最小単位が60cmというのはかなり厳しいです。
また、日本の住宅を基準に作られた家具や建具との相性も悪いです。他の国内メーカーは45cm単位が一般的で、これほど融通が利かないのは稀です。
ただ、間取りに制約があるのはスウェーデンハウスには限った話ではありません。「自由設計」の名が付いていても、意外と細かな制約があるのは珍しくありません。
住宅の建築には建築基準法など様々な法の制約がかかります。
メーカーの中では「形式大臣認定」を取得し、建築基準法の枠を超えた設計を可能にしている場合があります。
この場合、メーカーがあらかじめ決めた形式の範囲で設計することになります。
その形式を守ることで、建築基準法を守ったのと同じ安全性が保証されるので、一概に悪いルールであるとは言えません。そのため、自由設計と言っても、言葉通り自由に設計できるわけではないのです。
3.価格と坪単価について
材料はスウェーデンの工場で作ったものを輸入し使用しています。
その分輸送費もかかり、トップクラスの価格帯の住宅です。
輸入住宅というブランドと、耐寒性にどこまでお金をかけられるかが評価の分かれ目となりそうです。
特に暖かい地域では技術の恩恵もあまり受けられないため、高価なだけだと感じてしまいやすいです。
坪単価は注文住宅ならば坪85万円前後、セミオーダーの場合は坪70万円前後となるようです。
ちなみにスウェーデンの住宅の坪単価は45万円前後であるようです。
環境も住宅に関わる法律も全く違うので比較としては不十分ですが、日本の住宅がいかに高価であるかよくわかります。