1.特徴
●トップクラスシェア
積水ハウスは業界トップの引き渡し数を誇るハウスメーカーです。年間の引き渡し数は6万棟ほどにものぼります。数を増やすこと恩恵を一番受けている企業であるといえます。による注文住宅だけでなく、賃貸住宅も多く手がけています。全体の3割は賃貸住宅であるようです。
●強い営業
積水ハウスをトップクラスのハウスメーカーに押し上げた要因の一つに、営業活動の巧みさがあります。積水ハウスの営業ノルマはかなり厳しく「営業=ノルマがきつい」というイメージを世の中に浸透させた原因の一つであるとも言われています。中には、新人の営業マンに自転車で営業をさせることもあるようです。
●豊富なラインナップ
大手ハウスメーカーの強みといえば、大量に建材を仕入れることで材料費を安くできることです。規格を統一することで家の価格を抑えることができますが、その分画一的な住宅になりがちです。各々のニーズに応じた微調整などができないのが難点で、間取りや内装にこだわりを持つ人にとっては大きなデメリットになりえます。
積水ハウスでは、ラインナップを増やすことでこの欠点をカバーしています。ともかく安く抑えたい人、洋風のデザインにしたい人、環境にやさしい家にしたい人、など重視する項目によって商品を分けています。商品の中での選択肢は少なくても、ラインナップを増やすことで選択肢を上手く広げています。
最近では、環境や省エネルギーに注目した商品の販売に注力しているようです。省エネ住宅はどこのメーカーも力を入れている分野で、顧客のニーズに応えるだけではなく、環境分野への取り組みを示す広告としての役割も兼ねているようです。
●メーターモジュール
積水ハウスの住宅では、メーターモジュールを採用しています。
メーターモジュールとは、長さの規格で、国内ではメートルではなく尺を基準とした尺モジュールというものも存在しています。尺モジュールとメーターモジュールの違いは、柱の位置や壁の位置を調整する際の最小単位がどれ位になるか、ということに関係してきます。反対に言えば、それ以外の大きな違いはありません。
よくメーターモジュールの長所として、家の中を広くすることができる、価格を抑えることができる、等をあげる人がいますがそれは誤りです。確かに尺を基準とするよりも、メートルを基準とした方が廊下は広くなります。しかしその分だけ部屋が狭くなっているというだけで、メーターモジュールを使うだけで活用できる面積が広くなるというわけではありません。また、メーターモジュールだから値段が安くなる、と言った事実もありません。
●土地探しも行える
積水ハウスと同じグループである積和不動産では、土地の分譲や仲介なども行っています。同じグループ内で土地と住宅の販売を行っているため連携も取れており、マイホームを土地探しから始める人には非常に心強い味方だといえるでしょう。
宅地開発では、分譲地周辺に住宅を目一杯並べるのではなく、緑やちょっとした公園を設け、そこに住む人達の憩いの場ともなるようなまちづくりをしている地域もあります。そうした分譲地は人気も高く、分譲地にはハウスメーカーの指定がされていることが多いため、積水ハウスの同じような住宅が並んだ統一感のある住宅地となります。
●省エネ住宅
積水ハウスの住宅は全て「次世代省エネ基準」を満たしています。「次世代省エネ基準」は住宅の断熱性能を計る際の目標で、エコや省エネを謳うのであれば最低限クリアしておきたい基準です。ただ、この基準による数値は若干誤解を生みやすいようにも思います。たとえば、耐震等級が3ならば建築基準法に定められた強度より1.5倍も丈夫な住宅であることを示します。しかし断熱等級では4級でも次世代省エネ基準の最高ランクです。最低限クリアしておきたい基準であるにもかかわらず、耐震等級の3よりも数字が大きいと、並べて見た時に大層な断熱性を持っていると勘違いしてしまう人もいるのではないでしょうか。
積水ハウスの住宅の環境面から見る性能は、特に目立つような部分はありません。
断熱材にはロックウールを使用しています。構造材の外側部分と、柱の間に断熱材が使われています。断熱性については2.33という数値になっているようです。窓は断熱複合サッシに、遮熱複層ガラスが使われています。次世代省エネ基準を満たす程度の数値で、十分な数値ではあるものの、目立った数値とは言えません。気密性については、特に数字では公表されていないようです。
積水ハウスに限らず、断熱性には言及・注目していても、気密性にはそれほど注意を払っていないメーカーは多いようです。断熱性に比べて軽視されやすい気密性ですが、家の中の熱を考える際には非常に重要な要素です。断熱の等級が2の家で気密性を上げると、断熱性を3にしたのと同等の効果が得られると言われています。中には、気密性を上げすぎると却って建材に悪影響を及ぼすという説明をする人が居ますが、それは気密性を上げないことへの言い訳にすぎません。確かに高気密住宅では壁の中に溜まった湿気や結露に注意する必要がありますが、湿気に対して防湿シートなどの対策を行うのが普通です。
2.評判
●クレームが多い
トップクラスの販売数を誇る会社なだけあって、クレームの数も多いです。それは、質が悪いというよりも、絶対数が多いがために、悪い評判の数も比例して増えていると考えることができます。また、厳しい営業ノルマからくる営業スタイルも、クレームの多さに関わっているようです。営業力のあり、強さのある営業は会社から見れば力強い存在ですが、人によっては強引であるように写ることもあります。
積水ハウスの強みは営業とブランド力であり、住宅自体の性能は「普通」といった印象が拭えません。そうしたギャップも、クレーム増加の一因となっているのかもしれません。
●工場の見学ができる
積水ハウスでは「住まいの参観日」という工場見学階を定期的に行っています。住宅の大半を組み立ててから現地に持ってくる、という方法で建てているため、建築工程の何割かがこうした工場内で行われていると考えてもよいでしょう。そのため、どのような工場で家が作られているのかを知ることができるのは、積水ハウスで住宅を建てようと思っている人にとって、大きな参考資料となるでしょう。実際に工場を見学した人の満足度も高いようです。
しかし、工場で行われているのは結局のところ一部に過ぎす、重要なのは建築現場で行われる作業の方です。積水ハウスでは、子会社の積和建設が現場管理を担います。工場だけの印象ではなく、こうした子会社が管理している建築現場の雰囲気も把握しておきたいです。
●価格が高い
積水ハウスの住宅について、値段が高すぎるという評判をよく耳にします。価格帯としては、真ん中なのですが、なぜこのような評判が生まれるのでしょうか。
これは、営業の坪単価の伝え方の違いによるものです。値段を売りにするメーカーでは、坪単価を最低価格で伝えることが多いです。オプションもなく標準仕様で最低限の設備の坪単価ですから、安いのは当たり前です。実際に家を建てる段階になって、あれこれと必要なオプションを足していたら思ったよりも高くなってしまった、というのはよく聞く話です。
積水ハウスでは、自由度の高さ主張するためか、オプションなしでの最低価格ではなく、実際に建てられた住宅の平均価格からもとめたものを坪単価として伝えることが多いようです。そのため、実際に建てる時の値段はさほど変わらないにもかかわらず、積水ハウスの住宅が高額であるように見えてしまうのです。
ただ、工務店の坪単価と比べると、ハウスメーカーの坪単価が高いのは事実です。同程度の住宅のでも、坪単価には20万円近くの差が出てしまうこともあります。
●営業について
アフターケアをしっかりしてくれるという評判があります。ノルマが厳しい会社ではこうしたアフターケアはなおざりになってしまいがちですが、社員教育が行き届いているのでしょうか。離職率も高くないため、営業担当がコロコロ変わるという心配も少なくて済みそうです。
中には、対応に不満があったという評判もあるようです。実際に営業地自身に問題があったかどうかはともかく、お互い人間ですから、相性の良し悪しはかならず存在します。営業とは家を建てた後も長い付き合いになるため、相性を見極めることも重要です。
●現場担当について
積水ハウスの住宅では、建設現場は子会社の積和建設が担います。現場担当者が抱えている物件数が多く多忙なため、あまり担当者とあうことができず不信感を抱いたという話も聞いたことがあります。
積水ハウスの担当、積和建設の担当、と分かれているため、全員が顔を揃えられる機会も稀で、ちゃんと連携が取れているのか不安に思う人もいるようです。
このような心配は、積水ハウスに限らず大手のメーカーでは良くある話です。会社が大きいぶん、分担がはっきりしてしまうのは仕方ないのかもしれません。
現場の担当や営業担当などとしっかり話し合いをしたい場合は、こうしたハウスメーカーよりも地元の工務店の方が親身になって対応してくれて良いかもしれません。
3.価格と坪単価について
坪50~80万円と、幅が広いです。これは、商品のラインナップが豊富であることに由来します。他のメーカーの坪単価と比較する際は、自分の建てたい商品の標準仕様だといくらになるか、という金額で比較するようにしましょう。
平均坪単価は73万円で、価格帯としては平均的です。この坪単価で平均的な大きさの家を経てたとすると、3200
万円ほどかかります。
実際に住宅を立てる場合は、土地・建物の他に、照明や空調、カーテンや外構にもお金がかかります。最低でも予算に400万円は余裕をもっておきたいです。