枯山水は日本の伝統的な庭園様式の一つです。
文字通り水のない庭で、池や流れを造らずに、石や砂を水の流れや山に見立てる庭です。
白い砂を水面に見立ててそこに線を引いたり、橋を造ることでその下を水面であるように表現したりすることもあります。
有名な枯山水としては京都龍安寺の石庭があげられます。
枯山水は自宅の庭にピッタリ
枯山水というと、格式高い高級感のあるイメージがあります。自宅の庭にするにはハードルが高いと感じるかもしれません。
しかし、モノトーンで無駄のない枯山水は、和風建築だけではなく洋風の建築にもマッチします。
シンプルな外観の住宅や、スタイリッシュなデザインの住宅との相性はよく、マイホームをより洗練された雰囲気にしてくれます。
また、メンテナンスの手間がかからないのも魅力です。
草木の数がごく少ないため、草を刈ったり、水をやったりする手間をへらすことができます。
花や木でいっぱいの庭よりも、ずっと少ない手間で良い状態を保つことが可能です。
高級そうに見えますが、費用も思っているほどかかりません。
まずは建築会社や庭師に相談
新しいマイホームに枯山水を造ろうと思っているなら、まずは建築会社に相談しましょう。
自分で庭を造ろうと考えている場合も、設計やデザインをする人に伝えておくことは大切です。
庭がよく見える位置に窓を造ることを提案したり、外装のカラーと庭のイメージをあわせてくれたりするからです。
また、庭に設置するものによって建物に影響があったり、地面の保護が必要になったりすることもあります。
素人では気が付かないポイントやアイディアをもらえたりすることもあるため、情報共有は必ず行いましょう。
広い枯山水を造りたいという場合は、造園業者などに相談するのがおすすめです。
狭いスペースであれば素人でもそれらしいものが造れますが、広いスペースになるとなかなか難しいもの。
枯山水は初期投資以外あまりお金がかからないため、最初にお金をかけるのは悪い選択肢ではありません。
ホームセンターで石や砂利を用意すれば、自分だけで枯山水を造ることができます。
ただ、石や砂利は想像以上に重いため、怪我をしないように注意してください。
枯山水を造る費用は?
建物価格への影響はほとんどない
庭などの外構工事は元々建物価格とは別になります。
そのため、枯山水を造ることで建物価格が高くなることはありません。
草木のある庭に比べて水やりの必要性も少ないため、散水用の水栓を造る必要もなく、むしろ安上がりになる可能性もあります。
ただ、枯山水のために中庭を造ろうとしている場合は注意が必要です。
家の内部をくり抜く中庭を造ると、壁の表面積が増えたり、角の増加から柱の数が増えたりすることになります。
そのため、同じ床面積の住宅よりも工事費用がかかり、広さは同じであるにもかかわらず割高な家になってしまいます。
砂利
枯山水といえばまずはこれ。
あまり薄いと下の土が見えてしまうため、4cmほどの厚さで敷き詰めます。
石の大きさは5mmほどがちょうどよいです。
砂利の袋は一袋20kgほどで、1平方メートルを敷き詰めるのに3~4袋必要になります。
一般的によく使われているのは白川砂利というもの。
ホームセンターで一袋2000円ほどです。2平方メートルの庭だと14,000円程度かかる計算になります。
石
砂利の次に大切なのが庭石です。
石の価格はピンきりで、材質や産地、大きさ、色によって数万円から数百万円になるものまで様々です。
特にこだわりがなければ、ガーデニングショップや通販などで数万円あれば購入できます。
また、石は重いため、搬入にも注意が必要です。クレーンなどを使用する場合、石の代金とは別途料金がかかります。
植栽
枯山水にも多少の草や木、苔などを植えます。
ごく小さな庭なら石と砂利だけでも十分ですが、広さがあるなら多少の緑は必要です。
木を植えるとお金はかかりますが、苔と草なら1万円前後で植えることができます。
庭周辺
砂利の外側がそのまま土というわけにもいきませんから、外側を囲ったり区切ったりする必要があります。
おすすめはタイルなどで囲むこと。四角いタイルなら和風の雰囲気に、長方形のタイルなら洋風の住宅にマッチします。
色は枯山水を邪魔しないモノトーンの物を選びましょう。
タイルを貼るのはDIYでもできますが、その下の地面にコンクリートなどを敷くのは素人にはややハードルが高いです。
自分ができない部分だけプロに依頼するのも良いでしょう。
枯山水のメンテナンス
枯山水を造るときのお金も気になりますが、維持にかかるコストや手間も気になるところです。
日々の手入れではどんなことをしたら良いのでしょうか。
また、綺麗な波の模様は自分でも造ることができるのでしょうか。
模様は簡単に消えない
砂利は重いので、一度つけた模様が風などで自然に崩れてしまうことはありません。
上を歩いたり、物を落としたりしない限りつくった模様は維持されます。
掃除の頻度と方法
同じ色の砂利を敷き詰めている関係上、上に物が落ちると目立ちます。
どの程度掃除が必要になるかは、周辺環境によります。
風でゴミが運ばれやすい場所や、植物の葉が落ちやすい場所にある場合は、1週間に1度は必要になります。
特に秋から冬にかけては掃除の必要性が高くなります。
紅葉した紅葉が一、二枚推しているのは風流ですが、それが何枚にもなると単に見苦しいだけの物になってしまいます。
反対に、あまり植物のない枯山水や、落葉のない季節であれば、掃除の頻度は少なくてOKです。2~3ヶ月に1度で良いこともあります。
掃除の方法ですが、目立つゴミや大きなゴミは、トングや箸を使ってつまみあげるようにすれば、縞模様を消さずに掃除できます。
細かなゴミが目立つようになった場合は、箒で掃くようにしましょう。
芝生を敷いたり花をたくさん植えたりした庭は、雑草取りや水やり、害虫の駆除など頻繁に手入れが必要になります。
枯山水はそうした庭とは違い、最低限の労力で維持できるため、忙しい現代人にピッタリの庭です。
波模様のつくりかた
簡単に波模様は消えないといっても、上に乗ったり箒で掃除をしたりすれば崩れてしまいます。
枯山水を自宅に造るなら、自分であの模様を描けるようになる必要があります。
正式な方法は、竹箒で砂利を均し、レーキという大きな熊手のようなもので模様を入れるというものです。
検索すれば、たくさん動画が出てきます。
本格的に枯山水をやるなら正式な方法に則るのもよいですが、小さな庭のために大げさな道具を揃えるのも面倒ですし、保管にも場所を取ります。
自宅で気軽に枯山水を造るなら、風呂場や窓などに使用する水切りワイパーを使うのがおすすめです。
使い方は簡単で、水を切るときと同じようにして地面をならし、後は水切り部分を使って溝を入れていくだけです。
自分の足跡で模様を壊してしまわないように、庭の奥から後ずさるようにして作業を進めていくのがポイントです。
枯山水を自宅の庭に
格調高く難しそうに見える枯山水ですが、実は思ったより簡単に造ることができます。
必要な材料はホームセンターで取り揃えることができますし、こだわらなければお金もそれほどかかりません。
メンテナンスも簡単で、水やりの頻度も少なく、雑草に悩まされることも少ないです。
砂利でつくった縞模様は簡単には消えないため、普段の手入れは表面のゴミをつまんで取るだけで十分です。
大きな木をたくさん植えたり芝生を敷いたりした庭よりもずっと手間がかかりません。
また、枯山水は日本の庭園様式の一つですが、現代的な建築との相性も抜群です。
庭の選択肢の一つとして、枯山水を検討してみてはいかがでしょうか?