注文住宅は非常に高価な買い物です。
数十年続く住宅ローンの返済は家計に大きく影響しますし、一生に一度のビッグイベントです。
価格も気になるところではありますが、何よりも安心感と信頼性が大切です。
今回紹介するのは、信頼と実績のある人気の最大手ハウスメーカー8社。
建築実績の多い大手は情報収集もしやすく、実例も評判もいろいろと見比べることができます。
住宅展示場にモデルハウスを所有している場合が多く、実際の建物を気軽に見学できるのも魅力です。
サポート体制や保証の充実も重要なポイントです。
大手は規模の小さい工務店と比べて倒産やサポート打ち切りのリスクが低く、保証がしっかり継続される期待ができます。
大手の場合、坪単価換算で70万円台~と高めの価格帯になるため、ハウスメーカー選びや家づくりにはより慎重に臨む必要があります。
人気の大手ハウスメーカーをまとめて紹介
セキスイハイム
「あったかハイム」でお馴染みのセキスイハイム。宣伝文句の通り、寒冷地仕様の住宅を得意としています。
大手ハウスメーカーでも、寒さの厳しい地域や積雪の多い地域の住宅は取り扱っていないというケースも実は多いのですが、セキスイハイムは北海道での施工例も多く、厳しい環境にも耐えられる家づくりを行っています。
構造は木造・鉄骨造から選ぶことができますが、どちらも工場で加工・組み立てを行うユニット工法を採用しています。
そのため工期が非常に短く、短期間で家を建てることができます。
ユニット工法には現場の技術力に仕上がりや施工が左右されにくく、家の内部が雨にさらされる心配が少ないというメリットもあります。
ただ、トヨタホームと同じく、ユニット工法は設計の柔軟性が低く、狭小地や間口の狭い土地での建築が困難という問題もあります。
すでに土地が決まっている場合は、予め建築可能かどうか確認してください。
旭化成ホームズ
ヘーベルハウスというブランド名でお馴染みの大手ハウスメーカーです。
大きな特徴としては、住宅の耐久性に重きをおいた家づくりを行っていることが挙げられます。
今でこそ住宅の寿命が重要視されるのが一般的になりましたが、ヘーベルハウスは長期優良住宅が一般に意識されるよりもずっと早い段階からロングライフ住宅を取り扱っていました。
外壁に使用されているALCパネルは耐久性が高いだけでなく、耐火性にも優れており、建物の多い住宅地では火災の広がりを食い止めるのに役立ちます。地震への備えにも力を入れており、オプションになることの多い制震設備が標準仕様とされています。
価格は大手の中でも特に高い方です。
ただ、長寿命住宅は年数が経過しても資産価値が下がりにくく、ヘーベルハウス独自の中古住宅の売買仲介システムなどもあるため、相続などを経ていずれ手放さなければならないという場合には有利になりやすいです。
パナソニックホームズ
パナソニックホームズは2018年にパナホームから名称を変更したハウスメーカーです。
名前の通りパナソニック系列で、全国200箇所以上に拠点があります。
健康と安全を重視した家づくりを行っており、戸建住宅の他、賃貸併用住宅なども取り扱っています。
場面に応じてパネルを使ったパネル構造と重量鉄骨を使い分け、他のハウスメーカーでは建築が難しい厳しい条件の住宅にも対応しています。
狭小住宅はもちろん、3階建て以上も建築可能で、最高で9階建てまで建てることができます。
性能面の特徴としては、高層ビル建築でも使用されている制震技術や、珪藻土を使用した調湿・空気清浄、セルフクリーニングできるメンテナンスコストの低い外壁材の仕様などが挙げられます。
デザインは都市にマッチするシンプルでシャープなものが多く、和風建築や洋風のデザインについてはあまり柔軟な対応は期待できません。
見た目の良さや個性よりも、性能や安全面にお金をかけたいという人向けのハウスメーカーです。
三井ホーム
全国でオーダーメイドの家づくりを行っている自由度の高いハウスメーカーです。
それぞれの好みや要望に丁寧に寄り添い、こだわりのある家づくりができます。
お金をかけて丁寧に家をつくるだけでなく、様々なコンセプトの規格住宅などもあり、ある程度価格を抑えつつ上質なマイホームをつくることもできます。
デザインや設計面での評価は特に高く、外部の建築家と専属のインテリアコーディネーターにより、隅々まで気を配った住宅が実現できます。
性能面も充実しており、ツーバイフォーの特性を活かした高気密高断熱住宅は、省エネ性能も高いです。
気をつけるべき点としては、フランチャイズやグループ企業が担当するエリアも多く、本部直営エリアが限られているということです。
フランチャイズだからといって、品質が劣ったり、保証に違いがあったりなどの問題が生じることはまずありませんが、対応や営業の人柄などについては該当地域のものを調べるようにしてください。
ダイワハウス
設備や機能面の充実が人気の全国展開しているハウスメーカーです。
戸建住宅だけでなく、大型施設や店舗など幅広く建築をてがけており、技術力や対応力の高さには定評があります。
住宅の安全性で何よりも気になるのが地震への備え。ダイワハウスでは耐震実験を何度も行い、大地震に備えた家づくりを行っています。
耐震だけでなく、免震や制震技術も取り入れ、建物だけでなくその中にいる家族や家財を守れるようにしています。
外張り断熱による高い断熱性と気密性に加え、太陽光発電システムや蓄電池などを積極的に取り入れることにより、一歩進んだ省エネ住宅を提供しています。
最新の設備や技術をふんだんに取り入れた提案が多く、間取りや内容に手を入れる前から価格が高めなのがネックです。高機能な設備をあまり必要としていない人にとっては、ややオーバースペックとも言えるでしょう。
トヨタホーム
トヨタの持つ鉄加工技術とノウハウを活かした鉄骨造の家づくりを行っているのがトヨタホームです。
同規模のハウスメーカーと比べると住宅会社としての知名度はわずかに劣るものの、トヨタグループの資金力と規模は、最長60年の長期保証が確実に継続されるだろうという安心感をもたらしています。
住宅はユニット単位で工場生産し、現場での作業を極力減らしたシステムになっています。これにより現場の状況や担当者の力量に左右されない、高クオリティを維持した家づくりが実現しています。
工場生産により安定品質と低価格を可能にしている一方で、設計の自由度は少し低めです。
他にはない変わった形の家や、家具に合わせた間取りづくりなどは難しい場合もあります。
また、大きなユニットを持ち込んで家を建てる関係上、間口の狭い土地では建築が困難になるケースもあるため、事前に土地を購入した場合は注意が必要です。
住友林業
社名の通り、木材にこだわった木造建築を行っているハウスメーカーです。
国内に社有林があり、国産材をふんだんに使った家づくりができます。
木造というと鉄骨造に比べて弱いイメージがありますが、住友林業の採用しているビッグフレーム工法を使用すれば、鉄骨造のように大きな開口部のある住宅もつくることが可能です。
設計時には顧客の要望を丁寧に拾い上げるだけでなく、光の当たり方や風の通り方、周辺環境を丁寧にシミュレーションし、実際に住んだ時にどうなるかを事前にわかりやすく示してくれます。
木造住宅としてはやや高めの価格帯で、使用する木材や素材によっては、同内容の鉄骨造の住宅よりも高くなることもあります。
素材にこだわる人には非常におすすめのハウスメーカーですが、そうでない人にとってはコストパフォーマンスが問題になりやすいです。
積水ハウス
全国に500箇所以上の拠点を持ち、トップクラスの規模を誇る超大手のハウスメーカーです。
年間建築頭数は6万棟と、知名度も実績も抜群です。
住宅は木造・鉄骨造など好みや予算などに合わせて工法を選択可能で、商品ラインナップも幅広く、様々なニーズに対応できます。
設計力も高く、変形地や変わった間取りでもOKで、個々の事情に合わせた家づくりができます。
高気密高断熱といった、省エネ住宅ももちろんカバー。設備についても最新のものを導入できます。
大手だけあって、保証体制も万全です。
社員の10%はアフターサービスの部署に所属していると言われるほどアフターケアに力を入れており、住宅で困ったことがあった際にすぐに相談に乗ってもらうことができます。
高い機能と技術力、バリエーション豊富なラインナップ、万全のフォロー体制と素晴らしいスペックの一方で、価格はかなり高めです。
比較的安くなりやすいとされる木造住宅の場合でも、他のハウスメーカーの注文住宅と比較するとやはり高いです。
ハウスメーカー選びは慎重に
大手ハウスメーカーの住宅はいずれも高品質で高機能、導入している設備も最新のものばかりで、保証もサポートも手厚く安心感があります。
しかし、だからといってどこのハウスメーカーでも同じような家が建てられるわけではありません。
それぞれに得意な分野・技術があります。
坪単価70万円台のハウスメーカーで家を建てる場合、必要な予算は建物だけでも3000万円ほどになります。
決して安くはないお金を払う以上、その値段に見合うだけの家でなければ、必ず後悔することになるでしょう。
最大限コストパフォーマンス良い家にするためには、各ハウスメーカーの長所を活かした家づくりが重要になります。
何が必要で何が不要なのか、どんな生活がしたいのかを家族で話し合い、方針を決めてから家づくりに臨みましょう。
また、家を買う時にかかる費用だけでなく、住宅の修繕やメンテナンス・維持にかかるコストを踏まえた上で資金計画を建てることを心がけましょう。
その際には住宅購入にかかる費用だけでなく、車の購入や教育費など、他の支出についても合わせて考えて見るとより安心です。