注文住宅づくりで最初に悩むポイントが住宅会社選びです。
どこに家づくりを依頼するかでどんな住宅になるかが決まってしまいます。価格重視か、品質や機能性を重視するか、自然素材を重視するかなど、住宅会社によって特徴は様々です。
家づくりの半分以上はこの会社選びにあると言っても過言ではありません。
特に多くの人が頭を悩ませるのが「ハウスメーカーにするか、工務店にするか」という問題です。
良い家を建てるためには、ハウスメーカーと工務店、どちらを選ぶのが良いのでしょうか。
今回は、ハウスメーカーと工務店の違いや、選び方について紹介してゆきます。
ハウスメーカーと工務店
ハウスメーカーとは?
実は、ハウスメーカーに明確な定義はありません。
もともとハウスメーカーという言葉は、積水ハウス・セキスイハイム・大和ハウス・パナホーム・ヘーベルハウス・ミサワホーム・住友林業・三井ホームの8社をさす言葉でした。
しかし、次第にハウスメーカーの定義が広がり、この8社以外の住宅会社をハウスメーカーと呼んだり、自らハウスメーカーを自称する会社が登場したりしたことによって、ハウスメーカーの定義は曖昧になってしまいました。
基本的には、全国、もしくは比較的に広い地域に展開している住宅会社を指す言葉として使われています。
工務店とは?
ハウスメーカー同様、明確な定義はありません。建設業を請け負う業者のうち、比較的規模の小さい会社をさして工務店と呼ぶことが多いです。展開している地域は狭く、地元密着型の経営をしています。
単に工務店と言う場合、建設業を行うというだけで、必ずしも住宅の建設を個人から請け負っているとは限りません。
店舗やオフィスの工事を主に行う工務店もあれば、下請けを専門とする工務店もあります。
工務店に注文住宅を依頼する場合は、個人向けの注文住宅を取り扱っている工務店を選ぶ必要があります。
ハウスメーカーと工務店の違い
両者に明確な違いがあるわけではありませんが、傾向としては複数地域に展開している住宅会社を「ハウスメーカー」、一つの地域で家を建てている住宅会社を「工務店」と呼び分けています。
また、会社の規模の大きさによって家のつくりかたにも違いが生じます。
規模の大きい住宅会社では規格が決まっており、部品を大量生産したり、あらかじめ工場で組み立てを行ったりしています。工事を行う人や場所が違ってもそのメーカーらしい住宅を建てることができます。
工務店のつくる住宅は一点物です。客の要望に応じてゼロから家をつくります。
ハウスメーカーと工務店の特徴
ハウスメーカーで家を建てる場合と、工務店で建てる場合、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴について比較しながら見ていきましょう。
価格
傾向としては、工務店の方が安くなりやすいです。
建物そのものを建てるのに必要な金額は、ハウスメーカーと工務店もあまり変わりません。むしろ、ハウスメーカーの方が安くしやすいです。
というのも、ハウスメーカーでは材料をまとめて仕入れたり、材料をまとめて生産したりすることで材料費を抑えることができます。工事についてもマニュアル化が進んでおり、工事にかかるコストの削減も進んでいます。
工務店の場合、ハウスメーカーのように自社で工場を持つのは困難ですし、大量仕入れでコストを抑えることもできません。
それでもハウスメーカーの住宅の方が高くなりやすいのは、住宅価格に広告宣伝費用や研究開発費用が含まれているためです。ハウスメーカーの住宅価格のうち、広告宣伝費や利益が半分を占めているということもあると言われています。
そのため、ハウスメーカーの住宅は無駄なお金を払っているようで嫌だという人も多いです。家の原価を考えれば、仕方ないことかもしれません。
しかし、住宅価格を考える上で重要なのは、価格と満足度が釣り合っているかどうかです。利益率ばかり考えていてもあまり意味はありません。
また、住宅価格は家の広さはオプション、グレードによって大きく変化します。工務店でも高級志向の住宅ならば高くなりますし、オプションをたくさんつけても価格は上がります。反対に、ハウスメーカーでも上手に節約すれば低価格で注文住宅が建てられます。
技術力
ハウスメーカーと工務店では技術力に大きな差はありません。
ハウスメーカーの場合でも、実際に現場で工事をするのは工務店です。また、工務店によって技術力の差はピンきりで、比較はなかなか難しいです。
ただ、ハウスメーカーに依頼した場合は工事を行う工務店を選べませんが、自分で工務店に依頼すれば選べます。技術のある工務店を選ぶ目があるのなら、工務店に依頼した方が高い技術を期待しやすいです。
特に、地元で長く経営を続けている工務店の技術力は高いです。狭い地域で経営を続けていくためには、良い評判を得ていなければなりません。宣伝や広告にお金をかけられないぶん、口コミが大きな影響を持つのです。当然、技術のない工務店は淘汰されてしまいます。
高度な技術を持った職人に工事を依頼したいのであれば、歴史のある地元の工務店を探しましょう。
ハウスメーカーの場合、技術力は請け負う工務店に左右されてしまいます。気になるようなら、どの工務店が工事を請け負うことになるのか確認しておくと安心です。
品質
品質についてはハウスメーカーに軍配が上がります。
工場で部材を生産したり、組み立てを行っているハウスメーカーであれば、一定のクオリティが保たれていることが期待できます。
現場での施工段階に入ってからも、規格化やマニュアル化が進んでいるため、ミスが発生しにくいです。難しい工事や珍しい工事は発生しにくく、たとえ技術力のあまり高くない工務店が工事を請け負っても問題になりにくいです。特殊なものを建てない限り、ハウスメーカーで品質の心配をする必要はないでしょう。
工務店の場合、品質はピンきりです。
質の高いこだわりの材料を使用し、ハウスメーカーよりもずっと高品質の住宅を建てている工務店もあります。
注意が必要なのはローコスト住宅を扱う工務店です。ローコスト住宅の中には材料の質を下げてコストカットを行っているものもあります。まさに安かろう悪かろうの住宅です。
自由度
自由度の高さは工務店の圧勝です。
ハウスメーカーの住宅は、一定の規格のもとに建てられることを前提にしています。部品をまとめて仕入れたり製造したりすることで効率化を進め、工事のマニュアルを整備して品質を維持しています。
規格から外れた住宅はつくりにくく、建てたとしても高額になりやすいです。
一方、工務店の住宅は一点物です。客の要望に応じてゼロから家をつくっていくことになるため、自由度はかなり高いです。変わった間取りにしたい、個性的な住宅を建てたいといった場合は工務店が向いています。
工期
工事に必要な期間はハウスメーカーの方が短いです。
ハウスメーカーの中には工場であらかじめ家のパーツをある程度組み立ておき、現場での工事期間を極力短くしているところがあります。中には部屋の形がほぼできあがった段階まで工場でつくり、現場でクレーンを使用して積み木のように組み立てていくというハウスメーカーもあります。
現場での工事もマニュアル化や規格化によりスムーズで、短期間で工事が終了します。
工期は費用に影響します。工期が長引くと人件費がかかってしまいます。家を建てている間の家賃や仮住まいの費用もかさみます。見落としがちですが意外と重要なポイントです。
住宅ローン通過しやすさ
ハウスメーカーでも工務店でも住宅ローンの通りやすさにあまり差はありません。
長く続いている地元の工務店が付き合いの長い地元の銀行の住宅ローンに通す場合、話が通じやすく、住宅ローンの審査にも通りやすいというケースはあります。
一方ハウスメーカーの場合、同じ地域でも担当者が変わりやすく、銀行の担当者とのつながりを持つのは難しいです。
しかし、最近は住宅ローンの種類がどんどん増えており、特にネット銀行の住宅ローンは金利が低く注目されています。こうした住宅ローンの場合、ハウスメーカーでも工務店でも通りやすさには差がありません。
今は非常に住宅ローンに通りやすい時代です。思っているよりも簡単に通過できます。住宅ローンに通過しやすくするためだけに工務店を選ぶのはもったいないです。
ハウスメーカーと工務店、どちらを選ぶべき?
ハウスメーカーにも工務店にもそれぞれのメリットがあり、一概にどちらが優れているとは言えません。そもそも両者に明確な区分がないため、ハウスメーカー・工務店というくくりで単純に比較すること自体がナンセンスです。
今回紹介した特徴もあくまで傾向でしかなく、そこから外れているハウスメーカーも工務店もたくさんあります。
結局の所、自分の要望にあった住宅会社を探すしか方法がありません。
依頼先探しは大変
日本にハウスメーカー・工務店は無数にあり、その中から望み通りの住宅が建てられる会社を探すのは大変です。
良さそうな工務店・ハウスメーカーをリストアップし、特徴を比べたり見積もりを取ってみたり口コミをチェックしたりしていくのは簡単な作業ではありません。
そもそも、初めて住宅を建てる人の場合、どんな住宅を望んでいるかということ自体が曖昧なことも多いです。こうなると、ベストな依頼先探しは困難を極めます。
住宅のプロへの相談が鍵
効率的に家づくりを進めていくためには、プロの力を上手に活用することがポイントです。
住宅情報サイトSUUMOの運営する「スーモカウンター」は、家づくりに挑む人の強い味方です。
家づくりに関する講座を受講したり、専門アドバイザーに相談したりすることができます。要望にあった住宅会社を紹介してもらうこともできます。
スーモカウンターの利用にお金は一切かかりません。店舗以外にもインターネットで講座を受けることもできるため、近くに店舗がないという場合でも大丈夫です。