注文住宅を取り扱っているのはハウスメーカーだけではありません。地域に根ざした工務店でも直接注文住宅の依頼を受けています。
全国的に展開しており、知名度の高いハウスメーカーも魅力的ではありますが、地元密着型の工務店にも魅力があります。打ち合わせをする営業の人だけではなく、大工や職人との距離も近い工務店の方が、自分の求めている家造りに向いていると考えている人も少なくありません。
ただ、工務店選びはハウスメーカー選びよりも難しいです。
展開している地域が狭く、広告や宣伝もハウスメーカーよりは少ないです。そのため情報量が少なく、判断材料が集めにくいです。
今回は、工務店選びをスムーズに進めるための注目ポイントを4つ紹介します。
新築の注文住宅を中心に扱っている工務店を選ぶ
一口に「工務店」と言っても、取り扱っている工事は様々です。
住宅関連の工事だけでも、注文住宅や、建て売り、リフォーム、ハウスメーカーの下請けなどがあります。他にも建物の解体や、マンションの内装、店舗の工事を扱っているところもあります。
一つの種類を専門にしていることもあれば、いろいろな工事を兼業しているところもあります。
注文住宅を依頼するのであれば、新築の住宅を中心に取り扱っている工務店に依頼しましょう。リフォームや店舗の工事が中心の業者に依頼しても仕方がありません。
また、様々な工事を兼業している工務店よりは、新築住宅のみか、それを中心に取り扱っている工務店を選択しましょう。その工務店が力を入れている分野であるだけでなく、新築住宅をメインで経営していけるだけの技術力がある証拠でもあるからです。
同じ住宅でも、建て売りではなく、注文住宅であるということも大切です。
建て売りの住宅はある程度内容が決まっているため、比較的建てやすく、利益も大きいです。あまり技術力や営業力のない工務店でも取り扱うことができます。
しかし、注文住宅は施主の要望に応えて造られるものであるため、毎回一から考えてゆく必要があります。建て売りやリフォームに比べると工事が複雑で、一定以上の技術力がなければ取り扱うことができません。
技術の面だけではなく、営業担当の能力についても、建て売りと注文住宅では求められるものが異なります。注文住宅では施主の要望を上手く聞き、形にしなければなりません。
「工務店」と名前がついているからと言って、どこでも注文住宅をうまく取り扱える訳ではありません。しっかりとした技術力と実績のある工務店を選ぶことが大切です。
強みと方向性が明確であること
「強み」とはその工務店が持つこだわりのことです。
特殊な構法や建材を利用し、地震や火事に強い家造りを行っていたり、省エネやエコを重視し、人と環境にやさしい住宅であることを重視していたり、建築家との連携を強めて、高いデザイン性や建築の自由度があるなど、強みの種類は各社それぞれです。
強みの内容も重要ですが、まずは「強みを持っているかどうか」を確認しましょう。
注文住宅を取り扱っているハウスメーカーや工務店は数多くあり、その中で経営を続けていくためには何らかの強みがなくては生き残れません。
強みを聞いてみて、返事がすぐに返ってこなかったり、曖昧な答えしか貰えなかったりするような工務店は避けるようにしましょう。
また、謳われている強みが実際に生かされているかどうかも重要です。
施工事例などを見て、強みが生かされていそうかどうか、住宅の方向性は統一されているかどうかをチェックしましょう。
和風建築から洋風建築まで、木造でも鉄骨でもなんでもござれという工務店はあまり良くありません。
大手のハウスメーカーであれば守備範囲が広く万能であることは長所にもなりえますが、規模の小さい工務店であまりに手を広げているところは要注意です。住宅の構法や方向性に一貫性がなく、どのタイプの住宅でも中途半端な技術力しか持っていない可能性が非常に高いです。何か一つ、強い個性や強みを持っている工務店の方が優秀であることが多いです。
要望を汲み取る能力と実現力があるか
注文住宅を建てる時に非常に重要となる能力が「要望を聞く力」と「要望を形にする力」です。
この2つの能力がなければ、建て売りを買うのと同じです。せっかくの家造りですから、疎かにしてはいけないポイントです。
まず「要望を聞く力」ですが、営業担当の中には施主の意見を素人だからと一蹴してしまうような人もいます。要望に対し現実的ではない、値段の割に合わないと工夫する様子もなく、却下するだけの営業であれば止めておきましょう。打ち合わせの際の態度はしっかり観察しましょう。
次に「要望を形にする力」です。いくら要望を聞くことが大切だからと言っても、やはり施主の意見そのままを住宅に取り入れるのは難しい事が多いです。技術的な問題や、金銭的な問題など、様々なハードルがあります。重要なのは、要望を形にする過程で、アプローチを変えてみたり、上手く変更したりなどの工夫ができるかどうかです。
この能力がなければ、理想の住宅を実現することはできません。
設計・施工を自社で行っていること
設計も施工も住宅造りにおける中心部分です。これを下請けに任せてしまっている工務店は避けましょう。
工務店の良さは、職人との距離の近さや価格が安くなりやすいという部分です。下請けに出せば、マージンの分だけ高くなってしまいますし、どんな人が工事に関わっているのかも分かりません。それならば、同じように下請けが実際の施工を行っているハウスメーカーを選んだほうがずっと良いです。
営業や契約だけに力を入れ、自社で設計も施工も行わない工務店に技術力はありません。
工事自体の質もあまり良くない可能性が高いです。下請けだからといって技術力がないとは言い切れませんが、自分で直接お客を十分に取れないような会社が下請けをしているであろうことを考慮すると、あまり期待はできません。
ハウスメーカーでも施工は地元の工務店という場合がほとんどですが、下請けの管理や品質管理には注意しています。
規格を揃えることで工事を単純化したり、建材の加工やパーツの加工を工場で行うことで質を一定にしたりなど、下請けが施工しても問題ないように工夫しています。
こうした品質の管理方法は大手ならではの部分も多く、規模の小さい工務店に同じレベルの下請け管理を求めるのは難しいです。
また、設計や施工が下請けの場合、トラブルがあった際の責任の所在がわかりにくくなるというデメリットもあります。リスクを抑えるためにも、設計・施工を自社で行わない工務店は避けるようにしましょう。