家を建てる時、どんなことに気を付けるでしょうか? 「日当たりのいい南側をリビングにして、大きな窓をつけよう」、「水廻りは一か所にまとめて動線をシンプルにしよう」、どちらも大切です。しかし、図面だけでは分からない盲点があります。それは、風通し! この記事では、私が家を建てた後で気づいた、風通しの重要性と、風通しを良くする間取りについてお伝えしたいと思います。
◆風通しってそんなに大事?
まずはこれです。そもそも大事か? ということです。結論から申し上げます。大事です。それもすごく。
例えばある日、焼肉をしたとします。窓を一晩開けておいたのに、翌朝起きても部屋がくさい。何故なら空気が抜けないからです。寝起きに油のにおい、最悪です。
またある日は、家の中がものすごく暑い。そこで窓を開けると、外は家の中より涼しい。しかし風が全く入ってこない。外に出れば虫に刺されるから、網戸の内側にいたいのに、網戸の中と外で気温が全然違うのです。これがとてもイライラします。いよいよ我慢できずに冷房をつければ、たちまち電気代が跳ね上がります。風が抜けないがために、夏場の電気代が嵩むのです。
どうですか? 風通しの重要性を甘く見てはいけないことが、少しはお伝えできたでしょうか。
◆じゃあ、どうやったら風通しが良くなるの?
具体的な方法が分からないと、重要性が分かっても実践できませんね。答えは簡単です。窓を対面させれば良いのです。
例えば、南側の一番日当たりのいいところに、リビングを作ることにしたとします。大きな窓をつけて、日が差し込むようにして、家の中を明るくする計画です。とてもいいですね。でもそれだけでは風は入ってきません。どんなに大きな窓でも、1面だけでは風は入ってきません。北側にも、風が通り抜けるための窓が必要なのです。水がいっぱいのペットボトルに水を入れようとしても入らないのと同じです。上から水を入れて、中の水を全部入れ替えようと思ったら、底に穴をあけるのが一番ですね。風通しも同じで、入口の反対側に出口があると、まっすぐ流れて空気の入れ替えができるのです。
◆窓を対面させられない時は?
間取りの特性上、窓を1面にしか作れないこともあります。子供部屋や寝室の並びなどで、個室と廊下に3面を囲われていて窓は1面しかないというのは、よく見る間取り構成だと思います。この場合でも、せっかくの注文住宅ですから、風を通せるものなら通せるような工夫をしたいものですね。
要は、風の出口があれば良いのですから、「外に面した窓」でなくても問題ありません。分かりやすいのは、室内窓。名前の通り家の中につける窓で、腰高に付けるものもあれば、覗き込めないように天井近くにつけるものもあります。特に寝室や子供部屋は覗かれたくないですから、この天井近くにつけるタイプが良いでしょう。リビングなら腰高の室内窓でも可愛らしくて良いですね。その他に、出入口建具の上が一部開閉できるものもあります。扉はしまっていても、上だけが開放できて、そこから空気が抜けるのです。いずれも、開口の向こう側には外に空気が抜けるための窓が必要ですが、必ずしも同一室内に窓が複数なければ風は抜けない、ということはないのです。内装について検討する時、注文住宅の担当の方に相談してみると、色々と紹介してくれるかも知れません。カタログやネットの商品情報を印刷して渡せば、取り付け可能かどうか、工賃がいくらかかるか等、次の打ち合わせまでに検討してくれると思いますよ。
◆奥の手を使おう
最後の最後、どうしようもない時は、換気扇です。身もふたもないと思うかも知れませんが、これも必要な設備です。台所に限らず、換気が必要なところには換気扇を付けて良いと思います。最近はインテリア性に配慮した、薄型で羽が直接見えないタイプもあります。吹き抜けなどの場合、天井近くに換気扇を付けて、熱がこもらないようにするという工夫は割と一般的です。間取りにあわせて取り入れましょう。
如何でしたでしょうか? これから注文住宅を建てようとしている方が、この記事を読んで、風通しについてちょっと考えてみようと思って頂けたら幸いです。
私は5年前に二世帯住宅を建てました。二世帯同居特有のトラブルは今は割愛するとして、家というのは図面だけではなかなか分からないもので、中でも素人ではイメージできないのが「風通し」だったなと、暑くなるこの時期ほど実感します。
家を建てるのは人生に二度とない事かも知れません。多くの方にとって、家を買う、ましてや建てるなんていうことは、なかなかない機会です。だからこそ、後悔のない計画を目指すことはとても大切です。明るく、風の通る家はきっと気持ちが良く、暮らしをひとつ豊かにしてくれるはずですよ。